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川を見てゐた手だらうかうつすらと電車の窓にしろき跡あり

2014-01-01から1年間の記事一覧

掲載誌など

毎年のことながら、やはり今、こういう気持ちです。 雑然たる日々のすきまに見えきたる光の如く年を迎うる 高安国世 12月31日。まだまだ雑然としていて、光が見えてきません。夜が明けたら窓を磨きたい。夜が明けたら夫の風邪は治っているだろうか(一昨日か…

「塔」10月号 「歌壇」11月号 圧力の話など

「塔」10月号 評論「山川登美子 歌の転機」 「歌壇」11月号 作品12首「地球防衛家」 を書きました。読んでいただけましたら幸いです。「塔」は十代・二十代歌人特集、「歌壇」は「特集 圧力の時代、昭和十年代の歌を読む」が圧巻。「歌壇」の特集はタ…

ノーベル文学賞発表の日

1週間ぐらい前の、ノーベル文学賞発表の日のこと。ちょっと楽しかったので記します。夕方、関西テレビの夕方のニュース番組を見ていたら、学生時代に一緒に歌会をしていた生駒さんが書店でインタビューを受けているところが映りました。「お~!」と目が覚…

川口真理句集『双眸』

2週間ほど前になりますが、9月29日の毎日新聞朝刊で、坪内稔典さんの連載「季語刻々」にこの句。 遠来の目をしてゐたり秋桜 川口真理 同じ朝刊の歌俳欄、櫂未知子さんの「俳句月評」でやはり、 サルビアや古き英語のうつくしき 川口真理 港より昏きショ…

りんせん出町通信〜鴨川のほとりから〜

日が沈むのが早くなりました。職場の窓から午後6時ごろ。この5分ほど前には水平に伸びた雲の層がいくつも連なり、夕雲の棚田のようでした。こんな風景を見ながら、仕事が始まっていきます。 さて、家族の宣伝で恐縮ですが、京都で本作りをしていますN之原…

装丁+展

大阪・長堀橋のペーパーボイス大阪(平和紙業株式会社に併設)で開催中の「装丁+プラス展 本に寄り添う 書皮と栞、装画たち」。28日午後2時までです。皆さま、ぜひ! オリジナル書皮(ブックカバー。20種類以上あって好きなデザインを選べる)や、栞のおみ…

「短歌研究」9月号短歌時評「不謹慎の文学」

「塔」の全国大会終わる。いろんな人の話を聴き、また、話しました。帰ってから「あ、あの人と話していなかった」と何人も思いつくのは、惜しいことだけど、うれしいことでもあります。 発売中の「短歌研究」9月号に、短歌時評「不謹慎の文学」を書きました…

寒蟬と送り火

家で使っている二十四節気の暦。猛暑や台風、断続的な豪雨、と天候は不安定ですが、暦のとおり、13日に今夏初のひぐらしを聞きました。異常気象というけれど、二十四節気はわりと当たっていることがあります。それとも、暦を見て、自分の中の季節の感覚が暦…

三谷幸喜の文楽「其礼成心中」

京都劇場で公演中の文楽「其礼成心中(それなりしんじゅう)」(作・演出 三谷幸喜)が本日楽日。私は先日見てきました。職場の人に勧められて文楽を見始めましたが、オーソドックスなものをいくつも見ないうちに、三谷幸喜による新作文楽(2012年初演)を鑑…

『塔事典』付録②

『塔事典』付録の冒頭は「塔の京都」という地図です。塔にゆかりのある場所が、地図上に示されており、各項目は事典の本編で詳細が解説されています。京都観光にもってこいです。通常の京都の観光案内ではまずラインアップされないコースになるでしょう。 蛇…

『塔事典』付録①

塔短歌会60周年記念『塔事典』が刊行されました。いろいろと面白い項目があるのですが、それは追々語るとして、巻末の「付録」で、「全国大会一覧」を見るうちに回想モードに。 私は1999年の45周年大会(京都市 ホテルフジタ)から参加していますが、…

「短歌研究」8月号

「短歌研究」8月号、発売中です。 短歌研究 2014年 08月号 [雑誌] 作者: 短歌研究社 出版社/メーカー: 短歌研究社 発売日: 2014/07/22 メディア: 雑誌 この商品を含むブログを見る 短歌時評「非力な歌を読みたい」を書いております。 先月大阪で行われた「…

しばらく告知:塔短歌会60周年記念現代短歌シンポジウム

*満員御礼。受付は締め切りました。 短歌の夏です。「塔短歌会」の公開シンポジウムにいらっしゃいませんか。高野公彦さんの講演、鷲田清一さん・内田樹さん・永田和宏主宰の鼎談と、豪華なプログラムです。どなたでも参加できます!お申し込みはこちら→htt…

「造本装幀コンクール」レポート④

「コデックス装」という言葉を知りました。糸で綴じられている背がむきだしで、背表紙をつけない装丁です。半田也寸志写真集『IRON STILLS アメリカ、鉄の遺構』(出版社:ADP、装幀者:葛西薫・増田豊、印刷・製本:山田写真製版所)のコデッ…

「造本装幀コンクール」レポート③

第48回造本装幀コンクールの審査員(三賞選考)は、次の5名の方々でした。 柏木博氏(武蔵野美術大学教授)、浜田桂子氏(絵本作家)、ミルキィ・イソベ氏(装幀家・デザイナー)、緒方修一氏(装幀家・デザイナー)、中江有里氏(読者代表、女優・脚本家…

「造本装幀コンクール」レポート②

夕刻から、表彰式に出席。濱崎実幸さんとここで合流。式では、入賞作品の出版社、装丁者、印刷会社、製本会社の名前が呼ばれ、代表者1名が壇上に出て、賞状とトロフィーを受け取ります。『galley』は青磁社代表の永田淳さんが壇上へ。席に戻られてから、私…

「造本装幀コンクール」レポート①

4日、東京国際ブックフェアへ。小雨が風で吹き付ける不安定な天気。しかし、涼しくて過ごしやすかったです。例年は蒸し暑く、汗だくで会場をめぐることになるのだとか。会場の一画では、第48回造本装幀コンクールの入賞作、出品作が展示されていました。…

「pen」6/15号「美しいブック・デザイン」

水無月に水無月食べぬままに過ぎ小豆のやうなつぶつぶが降る 水無月のうちに水無月を食べよう、と毎年思いますが、今年も食べないまま7月になりました。水無月を食べたことがありません。小豆の味は想像できますが、小豆がのっている、ぷにぷにに見える白い…

「短歌研究」7月号

連続の投稿でごめんなさい。書けるときに書かねば、と焦っております。 「短歌研究」7月号で「短歌時評 助動詞から見えること」を書きました。同誌で8月号、9月号と短歌時評を担当します。ご一読くださいましたら幸いです。 7月号はこちら→ http://www.t…

『世界で一番美しい樹皮図鑑』

『galley』は、紙で作った普通の、本らしい本だと思うのです。しかし、濱崎さんの装丁は、もっと型にはまっていなくて、奔放で、とても楽しいことを読者の皆さんにお伝えしたい。その証拠が、はい、これ。 『世界で一番美しい樹皮図鑑』(セドリック・ポレ著…

「装丁 超える 本の常識」

時間がたってしまったのですが、先週日曜、6月22日付の朝日新聞の月刊文化プラス「装丁 超える 本の常識」という特集で、濱崎実幸さん(写真付き)、青磁社の永田淳さん、歌集『galley』が登場しました(たぶん、関西方面限定です。岐阜の実家に図書館で…

祝☆

歌集『galley』の装幀が、第48回造本装幀コンクール(主催:日本書籍出版協会、日本印刷産業連合会)の文部科学大臣賞に決まりました。発表はこちら↓ http://www.jfpi.or.jp/topics_images/tpc99_113.pdf 装幀の濱崎実幸さんは何度も入賞されていますが、…

辞書の夜〜舟を編む、辞書になった男、辞書を編む人たち〜(続)

で、話はまだ続くのですが、「辞書になった男」を読んだ後の興奮もさめやらぬ昨夜、「ETV特集 辞書を編む人たち」という番組が放送されました。ああもう私は明日ちゃんと起きなきゃいけないんですよ。と言いつつ見てしまったのですが、これは三省堂の辞書出…

辞書の夜〜舟を編む、辞書になった男、辞書を編む人たち〜

先日、映画「舟を編む」が地上波で放送されていました。映画館で見たときは、主人公・馬締(松田龍平)の先輩である西岡という編集者(オダギリジョー)が私はけっこう好きで、泣かされもしたのですが、テレビでは西岡関連のエピソードがほとんどカットされ…

印刷博物館

印刷博物館http://www.printing-museum.org/に行きました。興奮しました。ブックデザイン展は終わっていたのでまた来年。 興奮1 壮大。人類が洞窟に壁画を描いた太古から印刷を語り起こす。 興奮2 徳川家康が作った銅活字「駿河版活字」。ほんもの。 興奮…

装幀 覚え書き(続々)

装幀家について、このようなサイトもあるのですね。 日本図書設計家協会 http://www.tosho-sekkei.gr.jp/index.html 「装丁家作品ページ」で会員である装丁家さんたちの代表作が見られます。が、何より「ビータス」というウェブマガジンをしばし読みふけって…

装幀 覚え書き(続)

そうそう、肝心なことを書き忘れていました。今回の歌集作りを、なぜ青磁社にお願いしたのか。また、なぜ装幀を濱崎実幸さんにお願いしたのか。 青磁社を選んだ理由は2つあります。まず、自分の住んでいるところの近くで本作りをしてみたい、と思ったことが…

装幀 覚え書き

「装幀放談」をテキストにしながら考えたことを記しておきます。 歌集作りを考えている方で、装幀に興味のある方のご参考になれば幸いです。 基本的に、装幀家と著者が連絡をとることはめったにないので、完成までは編集者とやりとりをします。編集者は、著…

『夏鴉』追加

三月書房に第一歌集『夏鴉』を追加納入してきました。『galley』から興味を持ってくださったのか、買ってくださる方が続いているようでうれしいです。ありがとうございます。ネット上の某所で『夏鴉』の中古品にすごい値段がついていますが、ほんとに余計な…

装幀放談(6)最終回

(場所をバーに移して、話題もなんやかんやと移りました。濱崎さんの終電の時刻が近づき……) 澤村:濱崎さん、覚えていますか。私は忘れもしないんですけど、あの歌集のタイトルは濱崎さんのひとことで決めたんですよ。 濱崎:え? なんのこと? 澤村:いっ…