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川を見てゐた手だらうかうつすらと電車の窓にしろき跡あり

「塔」10月号 「歌壇」11月号 圧力の話など

「塔」10月号 評論「山川登美子 歌の転機」

「歌壇」11月号 作品12首「地球防衛家」

を書きました。読んでいただけましたら幸いです。「塔」は十代・二十代歌人特集、「歌壇」は「特集 圧力の時代、昭和十年代の歌を読む」が圧巻。「歌壇」の特集はタイトルもいいな。時代のにおいを嗅いでいる感じがします。私も、いま昭和十年代がとても面白いと思います。

「圧力」という言葉、最近よく聞きます。「同調圧力」なんていう言葉も見かけるようになって、なんか変な四文字熟語(?)が出てきたと思っていました。この言葉、誰が作ったんだろう。「圧力」は、試しに辞書を引いてみると、

①おさえつける力。すなわち二つの物体が接触面で、または物体内の二つの部分が面の両側で垂直におしあう力。

②人を威圧して従わせようとする力。   『広辞苑』

などとあります。人間と人間のあいだに働く圧力って、つまりは②のことだけど、私は「上から下へという一方向に働く、おさえつける力」という印象でこれまで捉えていました。AとBの間に力関係があって、Aが強くてBをおさえつける、という感じ。これは、何らかの理由(クーデターとか革命とか、ただ単に時の流れとか、Bの努力とか、偶然とか)で、Bが逆転しておさえつける側に回るということもあり得る。でも「同調圧力」の「圧力」はちょっと違う。むしろ、①に近い。二つのモノがそれぞれ膨れに膨れて、接触面でせめぎ合う。AもBも、自身が劣位にならないよう、膨れに膨れて相手をけん制する。同じ力で押し合うことによってのみ、均衡と平和が保たれる世界。でも、いつも膨れていなきゃいけないし、相手に合わせて膨れ続けなきゃいけないので、AもBも最終的には破裂するしかないのではないか。そういうところが「同調圧力」の怖さであり、幸せな結果を生みそうにないな……と思うと暗澹たる気分に。②の「上から下へ」の圧力の方が、まだましかもしれませんね(いやだけど)。反抗のしようもあるし、逃げることだってできる。なんといっても時が流れて生き延びられる可能性もけっこうある(といって、上から下への圧力を望んでいるわけでは決してありません)。一方で、「同調圧力」に対する処方箋は、そんなにないような。接触面が生じないよう、自分の(あらゆる意味での)サイズ、他者との距離感を自律すること、ぐらいかなあ。あと、鈍感力とか天然力? 許す力?

というようなわけで、圧力の時代の「圧力」はいったい何なのか(少なくとも何らかの「上」の意思ではない)、圧力の時代をそれなりに楽しく希望をもって生きていくにはどうしたらいいのか、ということを考えています。

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