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川を見てゐた手だらうかうつすらと電車の窓にしろき跡あり

ノーベル文学賞発表の日

1週間ぐらい前の、ノーベル文学賞発表の日のこと。ちょっと楽しかったので記します。夕方、関西テレビの夕方のニュース番組を見ていたら、学生時代に一緒に歌会をしていた生駒さんが書店でインタビューを受けているところが映りました。「お~!」と目が覚め、「生駒さん!」とテレビに向かって話しかけてしまいました。ノーベル文学賞発表直前ということで、村上春樹の受賞を期待して大阪の大型書店が春樹フェアを作っているところが取材されていたのですが、そのフェアの棚を作っていたのが書店員・生駒さんだった! 単独でインタビューを受け、にこやかに期待の言葉を語っていらっしゃいました。元気そうな様子にうれしくなりました。

村上春樹の受賞はありませんでしたが、毎年この時期になると何冊か読み返します。今年は『海辺のカフカ』を読みました。これに出てくる「星野くん」という青年が私はとても好きで。茶髪のポニーテールにドラゴンズの帽子、アロハシャツを着た岐阜の山奥出身のトラック運転手。「星野くん、なんていい奴なんだ」と思いながら読み終えるのが常であります。星野くんがいなきゃ、世の中回らないんです。一方、主人公の少年のことは、相変らずピンとこず。ただ今回は、少年に関するところは、10代の間にやっておくべきこと指南のようにも読めて、「ああ、これって教養小説だったのか」という感想を持ちました。星野くんについても、ちょっとそういうところがある。「大公トリオ」を聴くところとか。あ、気づくのが遅かったか。初読が10代後半ぐらいだったらなあ。人生のつらいことの一つ、「初読の時期をコントロールできない」。巡り合ったときが適齢期って思うしかない。