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川を見てゐた手だらうかうつすらと電車の窓にしろき跡あり

「造本装幀コンクール」レポート③

第48回造本装幀コンクールの審査員(三賞選考)は、次の5名の方々でした。

柏木博氏(武蔵野美術大学教授)、浜田桂子氏(絵本作家)、ミルキィ・イソベ氏(装幀家・デザイナー)、緒方修一氏(装幀家・デザイナー)、中江有里氏(読者代表、女優・脚本家)

『galley』についての講評では、緒方さんの「温かみのある装丁。息づかいのある装丁」というお言葉をうれしく拝聴。浜田さんの「歌が生まれた日々の蓄積を感じさせる」「幸せな歌集」というお話に至っては、斬新な観点に驚くとともに、今回の装丁についての著者の喜びを言い当ててくださったような気がしました。

浜田さんが紙の本について語られた中で「経年劣化」という言葉が印象に残っています。紙は、時間とともに、その持ち主とともに変化していく。劣化していくということが紙の本の価値なのではないか、というお話。半田也寸志写真集『IRON STILLS アメリカ、鉄の遺構』が話題になりました。アメリカの建物や橋など鉄製の構造物を捉えた、B4判変型、ド迫力の写真集ですが、これもやはり、紙に印刷されるからこそ、厚み、深みのある写真になるのだ、ということ。時間がたって、劣化していくことも含めて味が出る写真集であるということ。

これは目からウロコです。写真は、鮮やかであることが価値であり、つい、デジタルの写真を、デジタルな媒体で見たり保存したりする方がいいような気がしていました。商品としてのカメラも、鮮明に撮れることを追求しています。もちろんそういった特長が生きる場面が多々あります。しかし、紙という媒体だからこそ見せられる迫力がある。そのことを、この写真集と浜田さんのお話から実感しています。

 *レポートは続きます。次回④のテーマは「コデックス装」、次々回⑤は「ギャートルズ」の予定。

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