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川を見てゐた手だらうかうつすらと電車の窓にしろき跡あり

「造本装幀コンクール」レポート②

夕刻から、表彰式に出席。濱崎実幸さんとここで合流。式では、入賞作品の出版社、装丁者、印刷会社、製本会社の名前が呼ばれ、代表者1名が壇上に出て、賞状とトロフィーを受け取ります。『galley』は青磁社代表の永田淳さんが壇上へ。席に戻られてから、私も少しトロフィーに触らせてもらいました。透明で本の形をしており、ずっしりと重いです。

受賞者の言葉、永田さんの言葉が振るっていました。青磁社が社員二人の会社であること(始めたときは一人だった)、経済産業大臣賞の半田也寸志の写真集『IRON STILLS』の出版社「ADP」も一人で仕事をされているいわゆる「一人出版社」であることを踏まえて、

「これから、紙の本の良さを残していくのは、大手ではなくて、小さな出版社かもしれませんね」

ひょうひょうとおっしゃっていましたが、見えない刀をスラリと抜いたかのごとく見えました、私には。チャレンジングな言葉に心踊る瞬間でした。受賞作はさまざまで、出版社も大小さまざまですが、確かに、小さな出版社から出ているもので印象深いものがいくつかあります。例えば、仕掛け絵本『MOTION SILHOUETTE』の梶原恵、新島龍彦(読書推進運動協議会賞)。受賞作は、開くと、のどにさまざまな形のポップアップが。光をあてると、そのポップアップの影が機関車などの形になり、ページに映ります。幻想的でわくわくするこの絵本は、一点一点手作りなのだそうです。

コストを考えることは大切だけれど、コスト計算に負けないこだわりを追求できるのは、もしかしたら小さな出版社なのかもしれません。各地にそういう出版社があり、面白いものが発信されていることは確かです。