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川を見てゐた手だらうかうつすらと電車の窓にしろき跡あり

「pen」6/15号「美しいブック・デザイン」

 水無月に水無月食べぬままに過ぎ小豆のやうなつぶつぶが降る

水無月のうちに水無月を食べよう、と毎年思いますが、今年も食べないまま7月になりました。水無月を食べたことがありません。小豆の味は想像できますが、小豆がのっている、ぷにぷにに見える白い台の部分は、ういろうやようかんのようなものを想像したらいいのでしょうか。食べたいと念じながら食べるに至らないもののおいしさは脳内でふくらむばかりです。食べたことのある人らは「べつに」「そうでもないよ」「フツー」といいます。そういえば「水無月が好き」という人に会いません。ああ、いざ水無月を食べてがっかりしたらどうしよう。がっかりしないために、間違いのない水無月を研究して選んで臨まねば、と思っているうちに、私と水無月の距離はますますひらいていきます。食べたことのある人らは非情なもので「どこのもたいして変わらんよ」と言います。・・・めげないぞ。

さて、不覚でした。雑誌「pen」の前号(6/15号)の特集が「美しいブック・デザイン」でした。遅ればせながら書店に走りました。デジタル版も買えます。

http://www.pen-online.jp/magazine/pen/pen-361-bookdesign/

フランス、スペイン、ドイツ、オランダ、スイスの装丁の最前線が取材されています。日本人の装丁家としては、クラフト・エヴィング商會、名久井直子、水戸部功が登場。クラフト・エヴィング商會は、黒瀬珂瀾さんの歌集『空庭』を装丁されていました。名久井さんは錦見映理子さんの歌集『ガーデニア・ガーデン』や雪舟えまさんの『たんぽるぽる』。なるほどね〜。どれも洒脱でした。

「ブック・デザインの歴史を、総ざらい!」の後に、「デザインよし!の面白い10冊」のコーナー。第1位が「世界で一番美しい樹皮図鑑」でした! やっぱりね! これは手が伸びますよ。発売されたとき、私は書店で、濱崎さんの装丁とは知らずに手に取りました。「pen」では、帯を外した「樹皮図鑑」の立ち姿がどーんと写真に。私の素人写真ではお伝えできなかった樹皮っぽさをぜひ見ていただきたいです。