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川を見てゐた手だらうかうつすらと電車の窓にしろき跡あり

辞書の夜〜舟を編む、辞書になった男、辞書を編む人たち〜(続)

で、話はまだ続くのですが、「辞書になった男」を読んだ後の興奮もさめやらぬ昨夜、「ETV特集 辞書を編む人たち」という番組が放送されました。ああもう私は明日ちゃんと起きなきゃいけないんですよ。と言いつつ見てしまったのですが、これは三省堂の辞書出版部を取材したもの。辞書が大好きな大学院生がインターンとして辞書出版部にやってきます。その奮闘を追いながら、辞書編集者の仕事を掘り下げるというもの。編集部の本棚に「大渡海」(「舟を編む」の中で編集された架空の辞書)が差してあるのが映ったり、「舟を編む」の松田龍平や宮﨑あおいのポスターがちらっと映ったりして、にやにやしてしまいました。荒川良々のナレーションがすごく良かったです。

三省堂の「大辞林」が改訂に向かって動き出しているとのことです。3年後に第4版を出すのが目標ということが番組の最後の方で語られましたが、いや〜胸に突き刺さったのはこの改訂にまつわるエピソードです。改訂に向けて、辞書出版部部長と役員の間で会議が開かれます。「大辞林」の第3版は、Web版のユーザー数が紙の辞書の部数を圧倒的に超えているのだそうですが、そんなインターネットの時代にあって、紙の辞書としての改訂の意義などあるのか、と役員から鋭い指摘があります。こ、これはきつい。なんだか、自分に言われている気がしました。

「紙媒体で仕事をする意義などあるのか(あるのか・・・あるのか・・・あるのか・・・)」←( )内は脳内のこだまふうに

「紙の本で歌集を出す意義などあるのか(あるのか・・・あるのか・・・あるのか・・・」←( )内は脳内のこだまふうに

こんなこと、50代ぐらいのおじさまたちに囲まれて言われたら泣くしかない。涙ながらに「意義は、あります」と言うしかない。しかし、辞書出版部部長はきちんと指摘を持ち帰って、改訂の意義について編集会議で話し合います。きっといろんな意見、考え方があったにちがいないと想像しますが(「会社はもう辞書を出す気がないんだよ」という嘆きも出ていました)、部長が後日の役員との会議で提出した答えは、

「Web版をフルセット、紙をサブとする」

というもの。つまり、Web版をメインとして編集部は注力し、紙の辞書はサブとして愛好家などの需要に応えるというものでした。辞書界としては画期的なことなのだそうで、役員たちも大いに納得。Web版に注力するということが、具体的にどういうことでどんな形になるのかは分かりませんが、第4版を見て確かめたいと思います。楽しみです。

はあ〜紙はサブか。サブならサブで、生きる道があればいいんです。ただ、その「紙として生きること」の意義が問われる時代になったのですねえ。きびしいのう。

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