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川を見てゐた手だらうかうつすらと電車の窓にしろき跡あり

「造本装幀コンクール」レポート①

4日、東京国際ブックフェアへ。小雨が風で吹き付ける不安定な天気。しかし、涼しくて過ごしやすかったです。例年は蒸し暑く、汗だくで会場をめぐることになるのだとか。会場の一画では、第48回造本装幀コンクールの入賞作、出品作が展示されていました。…

「pen」6/15号「美しいブック・デザイン」

水無月に水無月食べぬままに過ぎ小豆のやうなつぶつぶが降る 水無月のうちに水無月を食べよう、と毎年思いますが、今年も食べないまま7月になりました。水無月を食べたことがありません。小豆の味は想像できますが、小豆がのっている、ぷにぷにに見える白い…

「短歌研究」7月号

連続の投稿でごめんなさい。書けるときに書かねば、と焦っております。 「短歌研究」7月号で「短歌時評 助動詞から見えること」を書きました。同誌で8月号、9月号と短歌時評を担当します。ご一読くださいましたら幸いです。 7月号はこちら→ http://www.t…

『世界で一番美しい樹皮図鑑』

『galley』は、紙で作った普通の、本らしい本だと思うのです。しかし、濱崎さんの装丁は、もっと型にはまっていなくて、奔放で、とても楽しいことを読者の皆さんにお伝えしたい。その証拠が、はい、これ。 『世界で一番美しい樹皮図鑑』(セドリック・ポレ著…

「装丁 超える 本の常識」

時間がたってしまったのですが、先週日曜、6月22日付の朝日新聞の月刊文化プラス「装丁 超える 本の常識」という特集で、濱崎実幸さん(写真付き)、青磁社の永田淳さん、歌集『galley』が登場しました(たぶん、関西方面限定です。岐阜の実家に図書館で…

祝☆

歌集『galley』の装幀が、第48回造本装幀コンクール(主催:日本書籍出版協会、日本印刷産業連合会)の文部科学大臣賞に決まりました。発表はこちら↓ http://www.jfpi.or.jp/topics_images/tpc99_113.pdf 装幀の濱崎実幸さんは何度も入賞されていますが、…

辞書の夜〜舟を編む、辞書になった男、辞書を編む人たち〜(続)

で、話はまだ続くのですが、「辞書になった男」を読んだ後の興奮もさめやらぬ昨夜、「ETV特集 辞書を編む人たち」という番組が放送されました。ああもう私は明日ちゃんと起きなきゃいけないんですよ。と言いつつ見てしまったのですが、これは三省堂の辞書出…

辞書の夜〜舟を編む、辞書になった男、辞書を編む人たち〜

先日、映画「舟を編む」が地上波で放送されていました。映画館で見たときは、主人公・馬締(松田龍平)の先輩である西岡という編集者(オダギリジョー)が私はけっこう好きで、泣かされもしたのですが、テレビでは西岡関連のエピソードがほとんどカットされ…

印刷博物館

印刷博物館http://www.printing-museum.org/に行きました。興奮しました。ブックデザイン展は終わっていたのでまた来年。 興奮1 壮大。人類が洞窟に壁画を描いた太古から印刷を語り起こす。 興奮2 徳川家康が作った銅活字「駿河版活字」。ほんもの。 興奮…

装幀 覚え書き(続々)

装幀家について、このようなサイトもあるのですね。 日本図書設計家協会 http://www.tosho-sekkei.gr.jp/index.html 「装丁家作品ページ」で会員である装丁家さんたちの代表作が見られます。が、何より「ビータス」というウェブマガジンをしばし読みふけって…

装幀 覚え書き(続)

そうそう、肝心なことを書き忘れていました。今回の歌集作りを、なぜ青磁社にお願いしたのか。また、なぜ装幀を濱崎実幸さんにお願いしたのか。 青磁社を選んだ理由は2つあります。まず、自分の住んでいるところの近くで本作りをしてみたい、と思ったことが…

装幀 覚え書き

「装幀放談」をテキストにしながら考えたことを記しておきます。 歌集作りを考えている方で、装幀に興味のある方のご参考になれば幸いです。 基本的に、装幀家と著者が連絡をとることはめったにないので、完成までは編集者とやりとりをします。編集者は、著…

『夏鴉』追加

三月書房に第一歌集『夏鴉』を追加納入してきました。『galley』から興味を持ってくださったのか、買ってくださる方が続いているようでうれしいです。ありがとうございます。ネット上の某所で『夏鴉』の中古品にすごい値段がついていますが、ほんとに余計な…

装幀放談(6)最終回

(場所をバーに移して、話題もなんやかんやと移りました。濱崎さんの終電の時刻が近づき……) 澤村:濱崎さん、覚えていますか。私は忘れもしないんですけど、あの歌集のタイトルは濱崎さんのひとことで決めたんですよ。 濱崎:え? なんのこと? 澤村:いっ…

装幀放談(5)

ながらくの休憩、失礼しました。放談再開です。一気に最終回へ。 (4人のテーブルはいい具合にほろ酔いになり……) 澤村:歌集の電子書籍化については、これからどうなっていくのか、興味深いところです。著者にとって、出版する形態の選択肢が増えるのは良…

装幀放談 (4)

少し間が空いてしまいました。「装幀放談」の続きです。 (お酒もだいぶすすみ、この辺りから話題があちらこちらにとびます) 永田:注目していらっしゃる装幀家は、どなたかありますか? 濱崎:あまり付き合いがないからそんなに思いつかないけど。あ、永田…

装幀放談(3)

澤村:字といえば、河野さんの『蟬声』の、タイトルの字の配置も好きです。黒くシンプルで。『母系』のタイトル部分と同じように、字はやはり、少しもり上がっていて、光沢があります。シンプルだけど、寂しい感じはしない。 濱崎:これはね。納得いってない…

【歌集『galley』の気になる歌】

青磁社のフェイスブックで【歌集『galley』の気になる歌】が始まっていました(後追いですみません。さきほど気がついて、ばっちりと目が覚めたところです)。 https://ja-jp.facebook.com/pages/%E9%9D%92%E7%A3%81%E7%A4%BE/258604550842687 田中槐さんと…

装幀放談(2)

澤村:濱崎さんの装幀で私が一番感銘を受けたのは、河野裕子さんの歌集『母系』です。(実物を取り出す) 永田:お! どっちだ? 初版か2刷か? 澤村:え? 永田:初版と2刷で違うんですよ。(帯をめくって)ああ、これは初版だ。 濱崎:うん、やっぱり初…

装幀放談(1)

さて、このブログを開設するに至った本題に入りたいと思います。 濱崎実幸さんの装幀による『galley』を手にしたとき、著者としてというより、本に興味のある者として心が躍りました。まず、読者からも感想のあった「紙の感触」。「なんだこれは」という驚き…

書評と作品評

東郷雄二さんが「橄欖追放」のページにて、『galley』を読んでくださいました。こちら。http://lapin.ic.h.kyoto-u.ac.jp/tanka/tanka/kanran136.html ありがとうございました。 島崎健先生に触れてくださったので、島崎先生と夫の関係について少し。 エレガ…

書きました。

角川の「短歌」1月号、2月号、3月号で「歌集歌書を読む」を担当します。1月号は既刊。こちら http://www.kadokawagakugei.com/zasshi/tanka/ 鯨井可菜子『タンジブル』、花鳥佰『しづかに逆立ちをする』、水本光『残照の野に』、身内ゆみ『朝星』、田中一…

詩歌の不意打ち

読売新聞1月12日朝刊の長谷川櫂さんのコラム「四季」にて、『galley』から 川を見てゐた手だらうかうつすらと電車の窓にしろき跡あり が掲載されました。結露した窓に誰かが手を添えている写真が付いていました。 ほかの地域は分からないのですが、「四季…

仕事の歌―天道なお

天道なおさんとは私は同世代です。仕事の歌に心打たれました。 ideaはときに熱風 明け方のデッドラインを飛び越えよ、鹿 ほどけゆく飛行機雲になけなしの我のキャリアがかさなりてゆく 水圧に激しく歪む海亀の卵であるのかオフィスの我は 誰がために働くわれ…

仕事の歌―河村盛明

仕事の歌について、最近読んだ歌集から。 輪転機ひびき伝ふる書庫の中此処に来て独りのわが時間 紙乱しまた一日過ぎし机の上手にあたたかく夕光及ぶ 最終版終りしあとの安らぎに柱は青き色に明け初む 日ごと袖を汚して帰る活字文化頽(すた)れゆく時近から…

書評

田中濯さんのブログ「いただきものに感謝」http://d.hatena.ne.jp/artery/にて『galley』の書評が掲載されました。ありがとうございます。 また、砂子屋書房HPの藤島秀憲さんによる「月のコラム 歌集を持って本日もカフェ」http://www.sunagoya.com/jihyo/…

初めて知った。君の名前は光村という

歌集のあとがきで活版印刷に触れましたが、写植の時代というのもあったんですよね。 文字の食卓 作者: 正木香子 出版社/メーカー: 本の雑誌社 発売日: 2013/10/24 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (5件) を見る 文字の、書体の印象を…

青磁社Facebookで

青磁社のFacebookで『galley』を紹介くださっています。 https://ja-jp.facebook.com/pages/%E9%9D%92%E7%A3%81%E7%A4%BE/258604550842687 どの本も美しく撮影されているのと、装幀の話が少し明かされているのをいつも楽しみにしています。『galley』に使わ…

2014年

あけましておめでとうございます。 雑然たる日々のすきまに見えきたる光の如く年を迎うる 高安国世『光の春』(1984年) 毎年、大みそかも更けてくるとこの歌を思い出します。「年を迎うる」とありますが、年が明けてから、というよりは、あと少しで年が改ま…

餅っぽい??

『galley』の装幀にたくさんの反響をいただき、ありがとうございます。装幀は濱崎実幸さんです。手に取ったときのカバーの感触に驚かれる方が多いようです。私も出来上がりに触れて驚きました。ぬめっ、というのか、ぬぅぅ、というのか。よろしければ、カバ…