galleria!

川を見てゐた手だらうかうつすらと電車の窓にしろき跡あり

ぜひ!『galley』批評会へ

澤村斉美歌集『galley』批評会について、まだお席はございます。

2015年の「批評会初め」にいかがでしょうか。1月11日(日)午後1時半から、メルパルク京都です。歌集をお持ちでない方にはお送りします。

山口、宮城、京都、埼玉から4人のパネリストをお招きしました。今回の歌集に限らず、短歌について、今、もっとも話を聞いてみたい、と作者・澤村が思う方々です。

上村典子さん(音)、梶原さい子さん(塔)、中津昌子さん(かりん)、山崎聡子さん(未来)による、たぶん一期一会のパネルディスカッションと、会場を巻き込んでの意見交換を楽しみに、ぜひご参加ください。

参加者は今のところ、20代から80代まで、約70名。熱気と酸欠が予想されますが、まだだいじょうぶ!(休憩もとりますのでご安心を) 一冊の歌集を手がかりに、短歌を探究しましょう。詳しくは前の記事をご覧ください。興味のある方は、ご連絡ください。

西之原一貴 knishinohara※nifty.com  または 澤村斉美 sawamuram※nifty.com

(いずれのメールアドレスも、※は@に変換してください)

『galley』批評会

澤村斉美第二歌集『galley ガレー』批評会のお知らせ

 このたび、歌集『galley』の批評会を開くことになりました。幅広い世代で読む場を設けられれば幸いです。ぜひご参加ください。

日時:2015年1月11日(日)13時30分~17時(開場13時)

会場:メルパルク京都 4階研修室(JR京都駅烏丸中央口を出て東へ、徒歩1分)

パネルディスカッション:(敬称略、かっこ内は所属)

上村典子(音) 梶原さい子(塔) 司会・中津昌子(かりん) 山崎聡子(未来)

  ☆批評会の後半は、会場発言を受けながらさらに議論をしてまいります。

会費:一般2000円 学生1500円 (当日会場にて申し受けます)

懇親会:17時30分よりJR京都駅近くの店にて開きます。

    (懇親会費 一般4000円 学生2000円)

お問い合わせ・メールでのお申込み

西之原一貴 knishinohara*nifty.com まで。アドレスの*は@に変換してください。

 

どうぞよろしくお願いいたします。

2015年、雪

あけましておめでとうございます

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31日から1日にかけては、さる場所で「歓喜の歌」を大合唱していました。夢中で歌っているうちに日付がかわっていました。一汗かいて、2時間かけて京都に戻り一眠り。昼前に起きて、こちら1月1日午後3時半ごろの下鴨神社です。雪にもかかわらずけっこうな人出。本殿と、干支のひつじの神を参拝。年女なので念入りに参拝。雪が積もってはいるものの、境内は人が多く通るので、まずまず歩けました。しかし、この後雪はますます激しく降り、20センチほど積もった歩道をがしがし歩いていくことに。足跡がついていないところがそこここにあり、道を開拓しながら帰りました。昨年までは出身地・岐阜風の出汁に餅と青菜とかつお節のお雑煮にしていたのですが、初めて京都風に白味噌仕立てのお雑煮を作り、鯛をさばいて鯛飯にし、夕食はなんとなく正月らしく。夜、BSで映画『舟を編む』をやっていました。もう何度も見たので馬締がかぐやに告白するところと、オダギリジョーが泣くところを見届けて切り、読書、就寝。明けて2日、夫は一人で鹿児島へ帰省。台所に立つと、白く半透明なかけらがぽつぽつと、流しや床に落ちています。昨夜さばいた鯛のうろこでした。うろこは飛ぶんだよなあ。ピチピチと。

さて、仕事始めです。電車は遅れたり本数が減ったりしている模様。早めに行かねば。短歌も始動します。今年もよろしくお願い申し上げます。

掲載誌など

毎年のことながら、やはり今、こういう気持ちです。

 雑然たる日々のすきまに見えきたる光の如く年を迎うる  高安国世

12月31日。まだまだ雑然としていて、光が見えてきません。夜が明けたら窓を磨きたい。夜が明けたら夫の風邪は治っているだろうか(一昨日から寝込んでいます)。。。混沌としたまま大晦日となりました。

さて、前回から間が空いてしまいましたが、既刊誌・紙に掲載されています。

 「八雁」11月号 二十代三十代競詠・批評特集「詩型に向き合う八人」

 「うた新聞」12月号 坂井修一歌集『亀のピカソ』書評「澄んだ余白」

 角川「短歌年鑑 平成27年版」特別論考「戦後七十年の塚本邦雄」

 角川「短歌」1月号  7首「苔の色」とエッセイ「夢に来よ」

 「短歌往来」1月号 自選30首と自選メモ

それと、「かりん」1月号に中津昌子さんの評論「澤村斉美『gally ガレー』の含みもつもの」が掲載されています。中津さんありがとうございました。

 

角川「短歌」1月号のエッセイのテーマは「想い人」。いま会いたい人ということで、歌人や作家や音楽家を挙げていた人が多かった印象。身近な人を挙げていても短歌と結びついているなど、とにかく皆、芯の通った選択をされていて、すてきでした。私は自分の阿呆なチョイスと書きぶりが恥ずかしい。十代のころの恋(らしき)話を書いたのは、大辻隆弘さんと私だけでした。大辻さんの場合はなんかこうくすぐったくも絵になるから良いです。大辻さんは3カ月に1回ぐらいその人に夢で会うらしい(多いな!)。私は1年に1回ぐらいですが、前回の話の続きを1年後の夢のなかでしていたりします。それがあまりに幸福感に満ちているため、目覚めた時の残酷さといったらないです。目覚めた自分を馬鹿だと思い、しばらく立ち直ることができません。まあ、1年に1回ぐらいそういう日があってもいいのだけど。

「塔」10月号 「歌壇」11月号 圧力の話など

「塔」10月号 評論「山川登美子 歌の転機」

「歌壇」11月号 作品12首「地球防衛家」

を書きました。読んでいただけましたら幸いです。「塔」は十代・二十代歌人特集、「歌壇」は「特集 圧力の時代、昭和十年代の歌を読む」が圧巻。「歌壇」の特集はタイトルもいいな。時代のにおいを嗅いでいる感じがします。私も、いま昭和十年代がとても面白いと思います。

「圧力」という言葉、最近よく聞きます。「同調圧力」なんていう言葉も見かけるようになって、なんか変な四文字熟語(?)が出てきたと思っていました。この言葉、誰が作ったんだろう。「圧力」は、試しに辞書を引いてみると、

①おさえつける力。すなわち二つの物体が接触面で、または物体内の二つの部分が面の両側で垂直におしあう力。

②人を威圧して従わせようとする力。   『広辞苑』

などとあります。人間と人間のあいだに働く圧力って、つまりは②のことだけど、私は「上から下へという一方向に働く、おさえつける力」という印象でこれまで捉えていました。AとBの間に力関係があって、Aが強くてBをおさえつける、という感じ。これは、何らかの理由(クーデターとか革命とか、ただ単に時の流れとか、Bの努力とか、偶然とか)で、Bが逆転しておさえつける側に回るということもあり得る。でも「同調圧力」の「圧力」はちょっと違う。むしろ、①に近い。二つのモノがそれぞれ膨れに膨れて、接触面でせめぎ合う。AもBも、自身が劣位にならないよう、膨れに膨れて相手をけん制する。同じ力で押し合うことによってのみ、均衡と平和が保たれる世界。でも、いつも膨れていなきゃいけないし、相手に合わせて膨れ続けなきゃいけないので、AもBも最終的には破裂するしかないのではないか。そういうところが「同調圧力」の怖さであり、幸せな結果を生みそうにないな……と思うと暗澹たる気分に。②の「上から下へ」の圧力の方が、まだましかもしれませんね(いやだけど)。反抗のしようもあるし、逃げることだってできる。なんといっても時が流れて生き延びられる可能性もけっこうある(といって、上から下への圧力を望んでいるわけでは決してありません)。一方で、「同調圧力」に対する処方箋は、そんなにないような。接触面が生じないよう、自分の(あらゆる意味での)サイズ、他者との距離感を自律すること、ぐらいかなあ。あと、鈍感力とか天然力? 許す力?

というようなわけで、圧力の時代の「圧力」はいったい何なのか(少なくとも何らかの「上」の意思ではない)、圧力の時代をそれなりに楽しく希望をもって生きていくにはどうしたらいいのか、ということを考えています。

ノーベル文学賞発表の日

1週間ぐらい前の、ノーベル文学賞発表の日のこと。ちょっと楽しかったので記します。夕方、関西テレビの夕方のニュース番組を見ていたら、学生時代に一緒に歌会をしていた生駒さんが書店でインタビューを受けているところが映りました。「お~!」と目が覚め、「生駒さん!」とテレビに向かって話しかけてしまいました。ノーベル文学賞発表直前ということで、村上春樹の受賞を期待して大阪の大型書店が春樹フェアを作っているところが取材されていたのですが、そのフェアの棚を作っていたのが書店員・生駒さんだった! 単独でインタビューを受け、にこやかに期待の言葉を語っていらっしゃいました。元気そうな様子にうれしくなりました。

村上春樹の受賞はありませんでしたが、毎年この時期になると何冊か読み返します。今年は『海辺のカフカ』を読みました。これに出てくる「星野くん」という青年が私はとても好きで。茶髪のポニーテールにドラゴンズの帽子、アロハシャツを着た岐阜の山奥出身のトラック運転手。「星野くん、なんていい奴なんだ」と思いながら読み終えるのが常であります。星野くんがいなきゃ、世の中回らないんです。一方、主人公の少年のことは、相変らずピンとこず。ただ今回は、少年に関するところは、10代の間にやっておくべきこと指南のようにも読めて、「ああ、これって教養小説だったのか」という感想を持ちました。星野くんについても、ちょっとそういうところがある。「大公トリオ」を聴くところとか。あ、気づくのが遅かったか。初読が10代後半ぐらいだったらなあ。人生のつらいことの一つ、「初読の時期をコントロールできない」。巡り合ったときが適齢期って思うしかない。

川口真理句集『双眸』

2週間ほど前になりますが、9月29日の毎日新聞朝刊で、坪内稔典さんの連載「季語刻々」にこの句。

  遠来の目をしてゐたり秋桜  川口真理

同じ朝刊の歌俳欄、櫂未知子さんの「俳句月評」でやはり、

  サルビアや古き英語のうつくしき  川口真理

  港より昏きショールを巻きにけり

  野の雨の燦爛として天瓜粉

  急流の匂ひさせたるサンドレス

とあり、俳人の川口真理さんを知りました。いずれも第一句集『双眸』(青磁社、2014年8月刊)収録の句ですが、櫂さんは『双眸』について「手に取った瞬間から、『何かがある』と感じさせてくれる句集だった。まず、装丁が美しい。活字が美しい。そしてさらに嬉しいことに、見た目の美しさを裏切らない一句一句の質の高さが素晴らしい」と書いておられます。

「装丁が美しい」と聞けばじっとしていられません。インターネットで検索してみると『双眸』の写真がいくつか出てきました。「ほう!」と思いました。こういう感覚、どう説明したらいいんでしょう。「これは!」と思うものを目にしたときに、体の中がぱっと明るくなる感じ。灯る感じ。表紙の写真だけでしたが、私は灯りました。取り寄せました。ガビーン。なんたること。う、美しい。白い光沢のある、これはクロスなんでしょうか紙なんでしょうか。そして、躍る水のモノクロ写真!? 銀色の字で「双眸 川口真理句集」と横書き。字は凹んでいて、工夫がある様子(技法の名前が分かりません。すみません)。幅広の半透明の帯には「清澄な韻き 流露するリリシズム」とあります。いかにもいかにも。私は手にした瞬間「明澄」という言葉が思い浮かびました。小口は深い青。群青に染められています。うわあ、もう、どなたのお仕事かとページを繰るに、いや、そうなんじゃないかと予感しなかったといえばウソになりますが、「装幀 濱崎実幸」とお名前が。そうかそうか濱崎さんか。濱崎さんがキレッキレにキレている! 活字も美しいです。この活字の名を尋ねたいものです。

川口さんの句も素晴らしいです。私は俳句のよしあしは分からないのですが、

  双眸の黒々として夜の秋

  夏めくや卓上にある漂流記

  ゆつくりとこの世にまぎれ春の駒

  ゆふぐれのひかりの荒し蜆汁

  湖底よりつめたき小鳥来てゐたり

  脱ぎすてしもののつめたき一茶の忌

  うたかたの帆をはりにけり半夏生

  滂沱するところが母国去年今年

  洛北の塔の奥まで冬銀河

といった句が好きです。ひんやりとしながら、滲みてくるものがあります。

りんせん出町通信〜鴨川のほとりから〜

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日が沈むのが早くなりました。職場の窓から午後6時ごろ。この5分ほど前には水平に伸びた雲の層がいくつも連なり、夕雲の棚田のようでした。こんな風景を見ながら、仕事が始まっていきます。

さて、家族の宣伝で恐縮ですが、京都で本作りをしていますN之原一貴が会社でブログを始めました。いま担当しているという「フィールドワーク選書」の本作りの一端をレポートしています。写真付き。これがけっこう面白い!「編集部N」の名前で書き込んでおります。ぜひお立ち寄りください。

 りんせん出町通信~鴨川のほとりから~ http://rinsenshoten.blog.fc2.com

フィールドワーク選書の著者の先生方がいらっしゃる国立民族学博物館(みんぱく)が、たいそう好奇心を刺激するところだという話はよく聞いていましたが、実は私は、彼が担当した本をまだ1冊も読んだことがありません。イノシシの狩猟、インドの染織など、かなりコアなテーマを扱っている模様。楽しそうに作ってるなあ。一度は読んでみたいです。

追記:短歌誌「八雁(やかり)」9月号より、

 『ユーラシア農耕史』の幕を垂らしたる臨川書店に西之原君働く 島田幸典

! ある日の夜中にこの歌を見つけ、ニヤッとしてしまったのですが本人はすでに就寝。付箋をしてテーブルに広げておきました。ありがとうございます島田さん!がんばれ西之原君!ついでにがんばれユーラシア農耕史!

装丁+展

大阪・長堀橋のペーパーボイス大阪(平和紙業株式会社に併設)で開催中の「装丁+プラス展  本に寄り添う  書皮と栞、装画たち」。28日午後2時までです。皆さま、ぜひ!  オリジナル書皮(ブックカバー。20種類以上あって好きなデザインを選べる)や、栞のおみやげもあります。

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濱崎実幸さんの展示。私の歌集『galley』も入れていただいてうれしい。それにしても『母系』と『大阪の橋ものがたり』の存在感よ。

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倉本修さんの作品も。岡井さんや道浦さんの歌集がありました。

展示もですが、隣室の、びっしり並んだ紙の棚に興味津々。今度ゆっくり見に行きたいと思います。冊子を作るなら参考になりそう。

展示会の詳細はこちらです。

http://www.tosho-sekkei.gr.jp